【近視ゴブンノヨン】さん
<メンバー紹介(敬称略)>
市立札幌開成中等教育学校
5年
石川 凜 (マロニー)
稲葉 弥生(卑弥呼)
佐藤 憧子(ひまわり)
杉山 京楓(きょんちゃん)
恒光 美桜(j120 ※ジェイワントゥエンティ)
「近視ゴブンノヨン」さんは、中高一貫校である市立札幌開成中等教育学校に在学中の5名のグループです。普通高校の2年生と同じ学年で、演劇部に在籍しています。本作は、4月に毎年実施している新入生歓迎の舞台がコロナの影響で中止になったため、なにか新入生に見せるものを作ろうと、演劇部の有志が集まり、初めての映像作品にチャレンジして生まれたものだそうです。顧問の先生から「有志でつくるのだったらコンテストに応募してみては?」と薦められ、ネットで検索して「うずめアート賞」を見つけて応募したとのことでした。嬉しい出会いですね。
製作の役割分担は、こんな感じ!
■企画・台本原案 & イラスト(J120)
■動画編集(卑弥呼)
■咲良(さくら)役 & イラスト(ひまわり)
■花陽(かよ)役 & 台本(きょんちゃん)
■企画・動画(マロニー)
抜群のチームワークで、ステキな作品を作ってくれました。
ありがとうございます!
授賞式の後、ペーター・ゲスナーの希望でZOOMでの会談が実現しました。
ペーター ほめすぎるのも良くないので、気をつけないといけないんですけど(笑)
今回は本当にシンプルに、複雑すぎにならずに、あなたたちそのままの関係性を使ってやっていたのは、すごく良くて、すごくリアルなしゃべり方ができていたんですよね。ストーリーも、最初は退屈かな、と思ったんだけど、だんだん面白くなってきて「えー、これはすごい」と思いました。この編集は、誰がやったの?
卑弥呼 私です。
ペーター マロニーは、ひとりだけの男性だけど何やったの?
マロニー 企画に少し口出したくらいです。
ペーター じゃあ、基本的に女性4人パワーでやったね、ステキですね。j120(ジェイワントゥエンティ)は何やったの?
j120 私は、もともとのこの劇の原案、企画みたいなところ、こんな感じでやりたいということを言い出した人です。
松尾 このコンテストはどうやって知ったんですか?
j120 きょんちゃんが調べてくれたんです。
きょんちゃん なにか発表できる場というかコンテストを探していて、条件にあうものが、なかなかなかったんですけど、調べていて画像検索の中にあったのをHPのぞいてみたら「あ、これ、ちょうどいいなあ」と思って応募させていただきました。
松尾 こういう作品、以前から作っているんですか?
きょんちゃん 休校中になにかやりたいな、と思って。
松尾 じゃあ、わりと短い時間で作ったんですね。
ひまわり 応募まで2週間くらいしかなくて大変でした。
ペーター みんな、演劇部のメンバーですね。不思議ですね、何年か前の演劇部は、あんなに技術使う「うまさ」はあんまりなくて、ただ声大きく言うとか、そんなことが多かったんですけど、今はコロナのせいかもしれないけど、それは繋げないといけないね、となってチャンスが出たね。特に、平山監督も本当にびっくりしたんですよね。
皆さん 嬉しいです。
ペーター そして彼だけじゃなくて、演劇雑誌テアトロで劇評も書いている林あまりさんも演技力が素晴らしいと言っていて。あと、ロシアやチェコ、ドイツなど、世界中の人形演劇フェスティバルに招待される黒谷都さんもほめてました。あんまりほめたくないんですけど(笑)。
それから、最後に出てくるトマト女、これは、あこ(ひまわり)が作った?センスいいね。
ひまわり はい、みんなの好きなものを組み合わせたやつなんですけど。
ペーター ただのコスプレや、ステレオタイプのキャラクターではなく、あまり見たことがないものですね。でもすごくかわいい。みんなが参加できるやり方ですね。少しずつ、少しずつ変わっていく、その成り行き、プロセス、それは芝居の中でもあったけど、小さな最後のイラストにもそのプロセスがあるから、目が離せなくなる。非常に面白い表現を見つけているんです、あなたたちは。これは(自分たちで)ちょっと気がついてもいいね。台本も良かったし。終わりもね、ドラマがある。もう一回問題がでたところで「私離れます、今日は終わりです」と。終わったあとも動画は続けていて、これはある意味、間(ま)ですね。間に色をあげたみたいな感じ。
君たちは2年生(普通高校でいえば)だから、みんなが演劇部やめるのはいつですか?
ひまわり 今年の高文連(全国高等学校文化連盟主催の演劇大会)の大会で、やめようと思っている人が多かったんですけど、コロナで大会もなくなりそうなので、ちょっと今わからないんですよね、どういう風になるか。
ペーター (WEBで)チェックしたらわかると思いますが、私は桐朋学園の教授ですね。桐朋学園は、東京で演劇科のある、日本大学、桜美林、多摩美術、玉川大学、桐朋の5大学のひとつです。(卒業後は)みんな、ばらばらになりますか?だいたい、どこに行きたいとかありますか?
皆さん 北海道にいる人もいるし、道外に出る人もいると思います。
ペーター 演劇続けたい人はいる?
ひまわり 演劇は続けたいです。
ペーター j120はなにやるの?
j120 あまりはっきり決まっているわけではないんですけど、趣味と両立できる仕事につきたいな、と思っているんですけど。
ペーター なるほどね。内田春菊さん知ってますか?わたしは、彼女の最初の小説「ファザーファッカー」をミュージカルの芝居に書いてもらって、学生たちと作りました。私は演出家として、わりあいに社会的なことをやっているんですね。ライオンキングのようなエンターテイメントもいいけど、社会に当てるものをもっと作ってもいいなあ、と考えているんですけどね。ライオンキングのもとは、実はリチャード3世ですから面白いですけど。その雰囲気、君たちにも感じました。(演劇)続ける場合は、なにかヨーロッパのコンテストに応募してもいいかもしれないね。
皆さん えー!
ひまわり 嬉しいです。こんなに評価してもらえると思ってなかったので。
ペーター 私たちも、いつもコンテストやってるわけではなくて、実は2回目ですね。でも、アメノウズメノミコトの神様の名前をつけた劇団ですから、賞を渡すこともありだな、と思ったんですね(笑)。私たちは、みんな(北海道)とは逆の九州の劇団ですね。なにか聞きたいことありますか?
卑弥呼 なぜ、話したいと思ってくださったんですか?話したいと聞いたときは、衝撃的過ぎて、びっくりしました(笑)。
ペーター 演劇人は出会う人間ですね。飛行機代あれば、東京に来いとかいいたいくらいですけど、それはちょっと無理ですから、でも、演劇人としては出会いたいと思うのは普通ですし、(応募の名前が)ニックネームだったから、どんな人か知りたかったしね。私は2人の作品だと思ってたんですね。でも、やっぱりそうじゃなかった。演劇部だったね、それも面白いね、その好奇心の気持ちでした。
ここまで結果を出せるチームが集まっているんですから、これから大学にいっても、チームを大事にして、また作品、表現を作ってほしい、みんなばらばらになるのは、もったいないと感じます。一緒に続けることができたらいいと思う。
松尾 皆さんは、常日頃からLINEでバンバンやりとりをしている感じですか?
ひまわり いえ、映像作ったこともないし、通話しながら録音したこともなかったんですけど・・・。この企画自体が、いつも4月に校内公演しているんですけど、それが全部つぶれて、新入生にみせるものを作ろうということで、何かできることがないかと考えて、そこから映像作ろうとなって。そのときに、顧問の先生からのアドバイスで、有志でやるんだったら、コンテストとかに応募したらいいんじゃないか、というお話があったので、それで調べて応募して、という形でした。
ペーター 卑弥呼にはずっと、そういう趣味(編集)はあったかな?
卑弥呼 一時期、編集ができたらカッコいいなと思ったことがあって(笑)、自分のパソコンにフリーソフトを入れて、クラスの動画の編集とかを何回かやったりしました。
ペーター とりあえず、楽観的な気持ちで作ったのは良かったと思います。今日は、みんなで集まって一度話せてよかった。ありがとう!
文責 松尾容子
グランプリ作品
<ペーター・ゲスナー>
旧東ドイツ出身。1993年来日後劇団うずめ劇場を主宰し日本で25年以上演劇活動を行う。現桐朋学園芸術短期大学演劇専攻科教授。元調布市せんがわ劇場芸術監督。2018年ソウルで開催されたATEC(アジア国際学生演劇フェスティバル)にてグランプリ受賞。昨年9月、東京芸術劇場にて内田春菊作「ファザーファッカー」を演大連(東京演劇大学連盟)の演劇系5大学共同事業として演出し話題となる。詳細はWikipediaをご参照ください。
<松尾容子>
1996年よりうずめ劇場に参加後、ゲスナー演出作品に多数出演。「紙風船」「開かれたカップル」「夜壺」「Antigone@Japan」「エレベーターの鍵」「昔の関係」「フェードル」等。中央アジアアルタイ地域の小国トゥバ共和国に伝わる民族音楽khoomei(ホーメイ)の演奏活動も行っている。